沖縄からみえる世界   地球・生命・宗教・先住民

人間が誕生し20万年が経つ。12万5千年前より火の利用を始め、10万年前にアフリカを出たと言われている。そして、5千年前にエジプト、黄河をはじめとする初期の文明が起きた。それから約2800年前になるとローマ時代が始まる。 つい250年前に産業革命が起きると、地球・環境・生命・宗教・先住民へ大きな影響を与え始める。西暦2017年の現在より、過去、未来を考える。

「命の行進二〇二一報告文」 by  矢向由季法尼

南無妙法蓮華経

 

今年の「命の行進」も皆々様のご加護をいただき、有り難く勤めることが出来ました。
心より御礼申し上げます。今回も新型コロナ感染が収まらない中での行進でした。

 

御縁の宿泊先にご迷惑をかけぬよう、宿泊料金がかかる施設に泊まり、行進者を募らず、基本的に出家のみの参加とさせていただきました。

昨年の十一月に宮城県知事が「女川原発二号機再稼働を容認」した事、福島県の漁協や全漁連が反対声明を出す中、国が福島第一原発から出る「放射能ALPS 処理汚染水」を放出しようとしている事に異を唱え、大震災慰霊と共に撃鼓宣令につとめました。

三月五日から十日までは、仙台から海岸沿いの津波被災地、そして福島第一原発から七キロの浪江町・請戸海岸までを歩きました。

十年目の3.11 には、福島県知事へ「要請文」を提出し、地震発生時までの二時間、半旗が揚げられている県庁前で唱題御祈念いたしました。
三月十二日には、十七キロの道のりを経て郡山仏舎利塔へ初めて参詣し、石巻市へ車移動しました。

翌日から女川原発へ行進し、大震災時に市町村の中では最も死者が多かった石巻市内慰霊行進をつとめ、十六日の最終日には仙台市内行進後、宮城県知事への「要請文」を
提出し、十二日間の行程を終了致しました。

計画段階では、中心となって居られた佐藤達馬お上人は、カトマンズ仏舎利塔建立仏事の為に参加ならず、二年ぶりに日本へ帰国された西川お上人と三年ぶりに去年帰国された池田お上人が通し行進をつとめられました。

沖縄からは「戦没者遺骨を辺野古基地埋め立てに使わせないハンガーストライキ」を共に行動された鴨下お上人と相原更紗さんが、九日から参加されました。

また、行進団の伴走車を前半は矢向涼さんが、後半は室作猛さんが運転してくれ行進を補助し、時に共に祈り歩かれました。

また、同慶寺の田中徳雲お上人様や舞踏家の小田原真理子さん、中嶋繁子さん、そして、十日の行進では石黒友大お上人様や栗原行廣お上人も加わり、二六人と参加者が集まって下さいました。

 

大震災から十年目ということでメディアでも注目されていたせいか、被災地を歩くと例
年よりも合掌礼拝、または震災時のお話をしてくれる方が多かったように思います。

しかし、原発再稼働や汚染水排出の話題になると口は重くなるようです。

女川町で出会った小学校六年生は「避難訓練はするけど、どうせ道路は壊れて逃げられないよ」とつぶやきました。
「住んでいるところから逃げなきゃいけないものなんて要らない」と原発からほど近い小さな浜の漁師の奥さんは言いました。

しかし沢山の交付金原発被災地、立地地域に流れており、その言葉はかき消されていきます。自宅と隣二軒以外がすべて津波で流されたという女性は「私は女川出身だけど、あの人たちは一千万円くらいもらって船を買っているから」と言っていました。

その船も津波で流されているだろうにと思いますが、近しいほど確かではない噂が飛び交い、地域をバラバラにしていきます。

今までもこのようにして基地や空港やダム、核関連施設などの大型国策事業は推進されてきました。

妬み、欲、驕慢、疑念、疲労が渦巻いています。

町ゆく人々は眉間にシワをよせ、子どもでさえも無反応の子がおり、本当に心配でなりません。

人は、やはり大地と水と森と田畑の循環の中で命の儚さや尊さを学び、そして生かされている実感をし、感謝を生み、地域のため、後に続く者のために創造する歓びを見出さなければ、生きる力がなくなってしまうと思います。

管政権は、地球規模の気候変動危機に対応する「低炭素エネルギー」として「原発再稼働」を推進しています。

しかし、発電により解決不可能な核廃棄物を生み出すこと、被曝労働を伴うこと、発電に伴うコストが高いこと、バックアップ電源、採掘、精製、加工、輸送時の二酸化炭素排出、放射能温排水など気候変動対策としても人道的観点から見ても不適切であり、国際的にも遅れた対策です。

「要請文」を受け取られた県担当者である「原子力安全対策課」は、原発が「安全である知識」を学んだ優秀な方でした。しかし、「安全ではない知識」を学んでいない方だったように感じました。

特に福島県担当者の「放射能の知識があれば、無用な避難をせずに済んだ」という発言には驚愕しました。あまりにも被災者の心に寄り添わない、上から目線の偏った知識による言葉です。

国の意見を県民に「丁寧に説明する」業務を淡々とこなしており、県民の意見を国に理解させることを業務としていないようでした。

私達に出来ることは小さいですが、先ずは小欲知足の生活と、節電に努力する企業や自治体を応援し、働きかけて行くこと、そして何より諦めないことが大事だと思います。
行進中、道路脇に海岸に沢山のゴミを見ました。

歩く速さで物事を見ると、人の心が荒れ、孤立していることを随所に感じる事が出来ます。

また同時に、この自然や人や命の美しさにもあらためて気づかされます。

今年も「命の行進」が無事成就出来ましたこと、あらためて感謝申し上げます。

 


合掌三拝

「命の行進」

成田道場

矢向由季

 

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浪江町 請戸海岸

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南相馬市 小高区 慰霊碑

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            田んぼが作られているようだ

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              高速道路双葉町に近づく

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           芽を出し始めている、紫陽花だと思う

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           大熊町辺り、民家は無住であると思う

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              住んでなさそうな家

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               ソーラーパネル

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              高速道路で一番高い数値

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             車内から見える浪江町の風景

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          浪江町内 元々は民家であったろう場所

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                 避難住宅か?

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女川原子力発電所が見える女川町の小屋取










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